2020年08月04日(火)18:51 会員以外にも公開 俊介 夏の海の記憶 波涛にきらめく光の散乱はいつもゆえ知れぬ痛みを伴う。 過ぎ去った数知れない思い出の破片が波頭にただよっている。 いつとは知れぬ遠い日の悲しみに似たものがよみがえる。 もう一度呼び戻すことのできない遠い青春の日々の光と影。 誰とも言えぬ数々の微笑みが光の中に交錯する。 思い出せないもどかしい日々の残照が黄昏に消えていき、 心の海底に深くよどんでいた情念が、無数の気泡のように 浮かび上…