さんが書いた連載題詠短歌の日記一覧

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2019題詠短歌 二人の部屋で

2019-041:妥 生と死を妥協させたら生きていた 落ち葉の中の二人の部屋で 2019-042:人気 あの頃は人気芸人より僕が 笑わせたよね今はどうして 2019-043:沢 沢山の携帯写真見ずに消す きしむベッドも今夜で処分 2019-044:昔 昔から辿り着けないあの人を 今の暮らしの中で夢見る 2019-045:値 価値観の異なる二人目を閉じて しらけた部屋でラジオを消した

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2019題詠短歌 脱ぎ捨てたまま

2019-036:買い物  買い物に出かける欲も消え失せて 破れたGパン脱ぎ捨てたまま 2019-037:概 今はもう概ね闇に包まれた 貴女も星も過去も見えない 2019-038:祖 祖先らが子らに託した魂も 星も未来も夢も薄れた 2019-039:すべて 泣きそうなすべての今は過去となり 闇夜の道を駆け抜けていく 2019-040:染 大袈裟な夕陽に背中を染められて 心鎮める雨は降らない

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2019題詠短歌 物言わぬまま

2019-031:しっかり しっかりと歩けずよろけ枯葉踏む 私は私ボケてゆくとも 2019-032:襟 話すたび広がる嘘が襟足の 汚れとなりて落とせぬままに 2019-033:絞 雑巾を絞る力も衰えて 泣くも笑うもひとりひっそり 2019-034:唄 たっぶりとレモン絞って飲みほして ひとりカラオケ昭和の唄を 2019-035:床 床の間に母が遺した人形は 夕日の中で物言わぬまま

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2019題詠短歌 歳月の檻

2019-026:飢 言葉には出来ないままで飢えていた 好きだったのに揺らぐ虚しさ 2019-027:関係 関係は運命までも侵蝕し 僕が僕ではいられなくなる 2019-028:校 校庭の光溢れて走る君 暗い校舎で僕も微笑む 2019-029:歳 永久の愛のキセキを夢に追い 老いて独居は歳月の檻 2019-030:鉢 若き日の二人の宴つなぐ手と 小鉢ひとつの漬物だけで

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2019題詠短歌 僕のスタイル

2019-021:スタイル 騒がしい未来が変えた気弱さが 静かに生きる僕のスタイル 2019-022:酷 残酷に眠れぬ夜に忘れたい 君をあれこれ夢見るように 2019-023:あんぱん 春の風僕はあんぱん食べながら 悪魔のふりで抱きしめた君 2019-024:猪 恋の事故猪突猛進禁止路は 過去と未来が曲がりくねって 2019-025:系 保存する汚れた恋の系列は まずは冷たい水で洗って

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2019題詠短歌 古びたチラシ

2019-016:マガジン あの頃の貴女の声が消えていく マガジンラックに古びたチラシ 2019-017:材 青春を楽しむための材料に 気づかぬ昔そこにある今 2019-018:芋 蒸かし芋小さな手にはまだ熱く それが僕らの時代のおやつ 2019-019:指輪 永遠誓う離婚指輪があるならば 手放せぬまま老いゆく指に 2019-020:仰 仰ぎ見る小さな星に託す恋 雨か月かで消えゆくひかり

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2019題詠短歌 空を押し上げ

2019-011:元号 百年の平和が続きますように 新元号に二人の願い 2019-012:勤 勤勉な父母が育てた柿の実は 親亡き今も空を押し上げ 2019-013:垣 徒長枝が垣根を乱し庭は荒れ ハナミズキまで咲かずに枯れた 2019-014:けんか 果てのないけんかばかりの君なのに 白い下着にひきつけられて 2019-015:具 具をよけて白い心を探す日々 あの頃確か好きだったのに

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2019題詠短歌 土に寝転べ

006:危 いたいけに微笑む髪を見つめれば 危険な恋の光を放つ 007:のんびり のんびりと黄昏消える思い出に 生きた歴史を風に飛ばして 008:嫁 生きのびる責任だけを転嫁され 神なき闇に私は生きる 009:飼 飼い犬は空に潰され自由など 知らなくていい土に寝転べ 010:登 暑すぎて逃げ出す愛に滲む汗 階段登る背中に別れを

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2019題詠短歌 刻まれる皺

001:我 残酷な天使のように微笑んで 老いゆく我に突き刺す言葉 002:歓 老いてなお運命などは知らぬまま 蒼い散歩の風に歓ぶ 003:身 振り返るもしも我が身に羽あらば 気づくだろうか神話の未来 004:即 パトスまで即身仏は朽ち果てて 価値ある死へのアンチテーゼか 005:簡単 簡単に眠れる夜は失われ 眠れぬ首に刻まれる皺

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題詠短歌 春が流るる

096:協 一滴の水が雨から川となり 協働から橋がうまれた 097:川 かさを増し川を急かせて雪解雨 橋の袂に春が流るる 098:執 執筆の筆折る今も妄執の 雨降る橋でいじる携帯 099:致 テレビでは致死量の雨橋破壊 傍観者はまた酒を注ぐ 100:了 雨に濡れ別れの橋を去る君よ 了解なんかしてはいないよ

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題詠短歌 物憂い姿

091:勘 明日は雨いつもの橋で冴える勘 天気予報は自分信じて 092:醤 御用蔵朱塗りの橋の雨音に 野田の醤油の豪商偲ぶ 093:健 橋でさえ老いれば健診するという だが今日は雨医者より酒だ 094:報告 亡き母に離婚報告した帰路の 橋の時雨は誰の涙か 095:廃 廃橋は役目奪われ見捨てられ 日暮れの雨に物憂い姿

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題詠短歌 雨もやむはず

086:穀 橋を過ぎローカル線の車窓には 脱穀終えた地に初雪が 087:湾 湾岸の橋の夜景に氷雨来て 帰したくない君を見送る 088:省 時が過ぎ省略された思い出は 雨・橋・闇と震えた二人 089:巌 もし橋が巌流島にあったなら 暇な雨の日「もし」をあれこれ 090:トップ さようなら気分はすでにトップギア 橋を越えれば雨もやむはず

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題詠短歌 また思い出す

081:潰 潰すには硬すぎる暇持て余し 昼酒徘徊霙降る橋 082:にわか にわか雪言問橋を包み込み あの日の恋をまた思い出す 083:課 欄干の擬宝珠撫でて川を見る これを日課に冬告げる雨 084:郡 この雨も死者の涙か霊の旅 西白河郡雪割橋で 085:名詞 雨の日は趣を増す君と橋 固有名詞は知らないけれど

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題詠短歌 酔うて候う

076:犯 違犯だと知りつつ投棄したくなる 凍雨の橋から粗大な孤独 077:忠 雪になり両国橋でふと思う 忠臣蔵を美談にするなと 078:多少 この橋で多少泣いても冬の雨 通行人は皆うつむいて 079:悦 横時雨ぬれる寒さも悦楽に 中央大橋酔うて候う 080:漁 漁り火に誘われ橋に身を寄せる ぽつりの雨に罠から逃れ

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題詠短歌 秋雨の旅

071:封 架け橋はネオンの雨に封鎖され 心通わぬ群れに漂う 072:レンタル レンタルの恋を返してひとり旅 氷雨の橋で濡れているだけ 073:羅 この橋も貴女も雨も紅葉も 風も別れも森羅万象 074:這 橋を這う枯葉は残り氷雨打つ 老いたこの身も濡れては揺れて 075:辻 辻堂に酒を手向ける老婆いて 橋までともに秋雨の旅

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題詠短歌 待つ人の駅

066:役 今もなお変わらぬ橋をゆるゆると 現役を去る今日は冷雨か 067:みんな 児童らがみんな並んで渡る橋 秋降る雨に彩りを添え 068:漬 古漬けで茶漬けかっ込み飛び出して 篠突く雨の橋を走って 069:霜 霜鬢の妻に懺悔の秋ふけて 長い木橋に八入の雨が 070:宅 江戸川の鉄橋走る秋の雨 自宅よりかは待つ人の駅

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題詠短歌 明日の果物

061:懇 あの頃は懇ろだったはずなのに わずかな雨で渡れぬ橋に 062:々 野晒しの勝鬨橋は日々五回 可動していた面影も無く 063:憲 家憲には9条無くて争いの 家路の橋は黒雨に消えた 064:果実 長雨に近づく秋の紅葉橋 梨にしようか明日の果物 065:狩 出会い橋時雨を急ぐ紅葉狩り 女橋には鬼女の群れが

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題詠短歌 旅の土産に

056:ドーナツ 秋の雨秋葉ヨドバシぶらぶらと 蕎麦屋遠くてドーナツランチ 057:純 雨降れど洗い落とせぬ不純さで 買ったカンザシ播磨屋橋で 058:門 海峡を関門橋でひとまたぎ 雨後の夕陽よ船に乗りたい 059:州 雨に濡れ江戸の娘の髪みたい 加藤洲の橋君と巡れば 060:土産 荒れる海降り止まぬ雨ゆれる橋 何を買おうか旅の土産に

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題詠短歌 手に秋雨が

051:適当 橋架ける適当な地を見つけたる 古人は偉し雨量増す川 052:誠 丹誠に磨き込まれた擬宝珠に 思わず触れた手に秋雨が 053:仙 昇仙峡愛のかけ橋ひとり旅 紅葉の雨よ我を酒仙に 054:辛 辛味増す言葉と雨に身をかがめ 活気が消えた夜柳橋 055:綱 綱渡りできずに落ちた夢あくた 聖橋から驟雨の川へ

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題詠短歌 たどり着くのか

046:沖 神立の沖に向いて架かる橋 見えない陸にたどり着くのか 047:審 さす傘を黒雨の橋で不審げに はらり落として笑って泣いて 048:凡 凡庸な橋らも雨もあの人も 隅田の四季に風情を変えて 049:順 橋渡る人も車も梅雨明けて 順風満帆船も私も 050:痴 涙あめ伊勢の宇治橋渡れども 痴情の日々を洗えぬままに