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みみみー

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私には羽がある

   私には、羽がある。私は、六角形の小さな箱からはじまった大切な城を、どんどん大きくしてきた。何者にも邪魔されないように注意深く吟味し選んだ場所で、私達は城を立派にするために働き、平和な毎日を過ごしていた。仲間はどんどん生まれ30個体にもなったある日の真夜中、私...

ぺこちゃん

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「チェックのプリーツスカート」

朝、お父さんが私のチェックのプリーツスカートを履いていた。お父さんの会社は、イギリスの伝統的な古い会社に買収されてしまったのだ。 「だから、会社の制服も英国紳士の服になるんだよ。一応、イギリスに会社からちゃんとしたのを注文してるんだけど、届くまでは、チェックのプ...

浮草

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青磁姫

 2030年、ある科学者が、ヒトの細胞内に葉緑体を取り込むことに成功いたしましたの。不思議なことに、XY遺伝子の卵は増殖いたしますのに、XX遺伝子の卵は増殖いたしませんでしたの。その中でようやく一つだけ成功いたしましのが、わたくしでございますわ。物心付いたころから...

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新入懇親会の夜

 初めての下宿は賄いつきだった。地方の片田舎から出てきたばかりのような娘さんが二人働いていて、食事と掃除の世話をしていた。旅館のように中庭のある建物で部屋数も多く多人数が利用していたから、今では死語になった「女中さん」のような存在が必要だったのだ。汁椀の内側に親指...

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新入懇親会の夜 (承前)

 ーー後年、久米宏がメインキャスターを務めたニューススターションだが、ふとテレビの画面に目を遣るとあの下宿が映っていた。 「今このテレビの画面を観ながら、懐旧の念に耽られている方が全国に何百人かはいらっしゃることと思います」  と、久米は述べた。画面には下宿の建物...

のら

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故障

「あっ」 「あっ」  私と妻は同時に声を発した。ソファに並んで観ていたテレビが急にブラックアウトしたのだ。 「故障だな」 「そうね」 「修理できるかな」  スマホで家電量販店に電話しようとしたが、起動しない。 「これもダメか」  キッチンで食事の準備をしていた妻が...

浮草

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てんとう虫

俺は戦士だ。仕事は破壊。 俺のモビルスーツは、高性能だ。 赤いボディが、黄金の大地と青い空によく映える。 俺たちの通った後は、 山は崩れ、大地は焼け、町は瓦礫の山だ。 今日の仕事は、山間の小さな町の破壊だ。 俺たちは皆、嬉々として跳ね回っている。 飛び上がって、...

のら

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秘密兵器

「社長のパソコンがいきなり落ちたのはまずかったな」 「ああ、きっとよくないことが起きるぞ」  会議のあと、営業部長と総務部長が並んで廊下を歩いている。  総務部長の予感は当たった。  ペーパーレス化の掛け声が止まったのだ。  紙の復権。  せっかく処分したプリンタ...

ぺこちゃん

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ドラゴンのイラスト

「ここはカフェで、イラスト描くとこじゃないぞ。」 そう言われて、いきなりコツンと後頭部を叩かれた。驚いてスケッチブックから顔を上げると、先輩がニヤニヤ笑ってた。 「先輩だって、いつもここでぶつぶついいながら、絵を描いてるじゃない。」 「オレはプロだからいいの...

ゆべ

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再会の予感

 彼女は、当時の自分を懐かしく思いながら母校の門をくぐり、その変わらない風景にほんの少し頬を緩める。最後に帰省したのは20年程前であったので、この風景が優しく彼女を迎えてくれたと感じた。    同窓会の招待状が届いたのは数週間前。上京して仕事に追われ、機会を逃して...

パパゲーノ

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ズンバ

「ネ〜、ケントスに踊りに行くなら〜ズンバやってみない」女友達が言ってきた。 「ズンバ?ルンバ?」と私、ズンバは元カノがやってたから知ってる。 「ズンバよ踊る体操ね」「やった事は無いけど話は聞いたよきついらしね」 軽快なミュージックにで踊るズンバ。 「女バッカよ...

パパゲーノ

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ラクダの糞を食べたかも

山田は繊維関係の機械の据付を仕事とする中年男、自営業として10年。 その山田に繊維機械メーカーからモンゴルのウランバートルでの仕事が回ってきた。 ウランバートルでは、現地の人が機械据付をするのだがその現場監督をするそうだ。 で、ウランバートルの工場に、メーカーの...

のら

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倒すな

 マコトは小学校の体育館を借り切った。  三日後に村祭りが迫っている。  三万枚のドミノ倒しに挑むのだ。ボランティアも十名、確保した。  すでに設計図は書き終えている。あとは並べていくだけだ。 「このなかに」とマコトは声を張った。「緊張したらくしゃみが出るというや...

パパゲーノ

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児相くる

携帯がプルプルと鳴って♫ヘイジュード♪と呼びかけてきた、別に私の名前はジュードでは無いけれど、ビートルズが好きだから着メロにしたのね。 掛けてきたのは小5の孫娘のミカから「ホーイなんか用か?」「あのさ〜爺ちゃんさ〜、子供の頃猫飼ってたって言ってたよね〜」「それがな...

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「屋上にまいりまあす」

 子どもの頃母さんに連れられてよく百貨店に行った。市内に百貨店は三つあった。その何れもが最上階は大食堂で、和洋中その他の食品サンプルが入口横の陳列ケースにずらっと並んでいた。あの棚は何段に仕切られていたのだったか、最上段にあるサンプルや記されている商品名は見上げて...

のら

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象徴

 年のはじめに祭りがある。  山の上にあるお寺まで駆け上り、本堂に設置してある鍵達磨を奪い合うのだ。  老いも若きも性別も関係なくみんなが参加する。  達磨はバレーボールのようにぽんぽんと弾き飛ばされていた。そして、油断していた私の手元にすぽっと飛び込んだ。  私...

パパゲーノ

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さよなら では無い

 中年の独身の船乗りがいて、中肉中背でチョット嫌らしい奴。 給料は良いけど、変な所でケチる事が  航海が終わり晴海埠頭に着き、荷役も終わり「さて!いつものキャバレー未亡人クラブへ行くべー」タクシーで乗りつけ、馴染みの娘を側に寄せビール飲みだす「ね~フルーツいいでし...

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掌編小説倶楽部の発足に寄せて

ご発足おめでとうございます。 末永いご発展を祈念いたします。(^^♪ 三日後、つまりこの土曜日なら小生の誕生日でもあるのですが、ちょっぴり残念。(-"-) うん、その日あたりに何か一編投稿しようかな。でも投稿の仕方が分からないや。"(-""-)" ぼつぼつ往きまし...