ギリシャでは寝転んで宴会をした

丸谷才一著『双六で東海道』文春文庫、12月の新刊。
 古今・洋の東西の事柄を、博聞・博識を披露しながら楽しく語る、碩学・博学の丸谷先生のエッセイ。
 演劇評論家の渡辺保さんは巻末の解説で、「このエッセイ集は、盃を傾けながらでも紫煙をくゆらせながらでもいいが、楽しむのが第一」。エッセイの真髄というものが鮮明になっているからだろうと。そしてその真髄とは、次の五つ。
? ユーモア。相対的・複眼的な視点をもち、時には自分を戯画化するだけの余裕から生まれるユーモア。
? 上品で洒落ていること。この本にも相当下世話なきわどい色事の話も出てくる。それが少しも不快でない