素浪人の『万葉集漫談』(148話)…緊迫する日中関係と、出動する隊員たちへの思い。

(148) 畏きや 命被り 明日ゆりや
      草が共寝む 妹なしにして
     巻二十・4321 物部秋持(もののべのあきもち)
読み・かしこきや・みことかがふり・あすゆりや・
      かえがむたねむ・いむなしにして
大意・畏れ多い大君の命令を頂いて、門出をする明日からは、
妻ではなく草を抱いて寝る日々となるのであろうか。

解説・755年は防人交替の年でした。兵部少輔(兵部省の次官)であった大伴家持は東国各地の担当役人に命じて、防人や家族に歌を詠ませ収集しました。
家郷出発の前後から難波乗船前後までの歌です。
一連の歌は、万葉集の防人歌とし