素浪人の『万葉集漫談』(168話)…古代にも、セックスレスって、あった?

(168)  誰れぞこの 屋の戸押そぶる 新嘗に
      わが背を遣りて 斎ふこの戸を
         巻14・3460  東歌
解説・ 一体、どなた? わが家の戸を押し揺らし、私に言い寄るのは! 新嘗祭というので、今夜は身を清めて夫さえ外に遠ざけ慎んでいるというのに。…といった男咎めの歌です。

当時は、女性が収穫した新穀を供えて、来年の豊穣を祈る祭りがあって、禁男の習慣がありました。そして一方では、「夜這い」といって夜、異性の寝所に忍び入って情を通じることを地方によって扱いは様々ですが、大目にみた処もあって、古代の恋の複雑さが垣間見えてきますね