( 174) 玉藻刈る 処女(ヲトメ)を過ぎて 夏草の
野島が崎に 廬(イホリ)するかも
巻15・3606 遣新羅使
解説・ かの名高い、玉藻を刈る処女の地も素通りで過ぎてしまって、夏草の生い茂る、野島の御崎に今夜は、仮寝することだなぁ。 …と、観光名所を楽しむ余裕も与えられず、夜に入って、旅寝を強いられて、嘆いている歌です。
・ 処女→芦屋から神戸の東部にかけての一帯。(柿本人麻呂の著名な羇旅歌で、類歌があります)
・ 野島→淡路島北端の西海岸、船の寄港地。
現代なら、夜景を楽しむ素敵な光景もなく、