(190) 赤駒を 山野(ヤマノ)にはかし 捕(ト)りかにて
多摩の横山 徒歩(カシ)ゆか遣(ヤ)らむ
巻20・4417 椋椅部荒虫が妻・宇遅部黒女
(クラハシベノアラムシ)が妻・(ウヂベノクロメ)
解説・ (防人として出征する夫を乗せるために)放し飼いにしている野の赤駒を捕らえようとしたのに、捕らえ損なって、あの(難儀な)多摩の横山をとうとう、歩いて行かせることになるのか。…と、悔しがる妻の悲嘆の歌です。
・はかす→放す。 捕りかにて→捕りかねて、の訛り。
防人には自己負担ではあるが、家人、奴婢、牛馬を伴うこ