薄氷を踏むような、数奇な運命を辿った『万葉集』。…素浪人の『万葉集漫談』(204話)

『万葉集』の最終楽章を飾る歌はもう、古典文学を知る方なら、殆どの皆様がご存じと思います。
そうです。758年(天平宝字2)、辺境の地、因幡国守に左遷された41歳の大伴家持が、その翌年の759年の正月42歳になって、管内の役人を集めた新年の挨拶のなかで詠んだ歌です。

(204) 新しき 年の始めの 初春の
       今日降る雪の いや重け吉事 
   巻20・4516 大伴家持(オオトモノヤカモチ)
読み・ アラタシキ トシノハジメノ ハツハルノ
       ケフ(キョウ)フルユキノ イヤシケヨゴト 
解説・ 新年のはじめの新春の、今日降る雪。この