4、フラ・アンジェリコの《受胎告知》

フラ・アンジェリコの《受胎告知》はフィレンツェ近郊のフィエゾーレにあるサン・ドメニコ修道院の祭壇画として描かれたもので、作品は二つの場面に分かれている。左側の茂みを背景とした部分はエデンから追放されるアダムとエヴァであり、右側の豪奢な柱廊では大天使ガブリエルがマリアに受胎を告知する場面が画かれている。
 この二つの題材を同じ作品の中に画くことで、フラ・アンジェリコは人間の原罪とその願いを表現している。主役である聖母の存在をさらに引き立てるため、下部には彼女の生涯を画いた場面が含まれている。
             『プラド美術館ガイドブック』p220。