お瑛の原点に戻った森真沙子の「桜追い人」。

「日本橋物語シリーズ」もこれで 9作目。これまでの作品は、ミステリー調あり、伝奇風ありと、色々な趣向を楽しませてもらったが、今回は本来の?姿に戻ったよう。

本職は日本橋室町で草木染めの反物を取り扱う呉服店、ここを舞台に出入りする客や、業者に関する物語を展開していくのが最初の出だしであった。

それが、作者の酔狂か、作風があちこちと飛び歩く姿から、まったくの別物作品かと思わせる巻もあった。それはそれで新鮮な感覚にもなり、楽しくさえもある。

今回は、桜染めの反物に関する物語を軸に、相撲取りの話やわずかの間奉公にきた姉弟の話が盛り込まれている。

特色は、