ベテラン女医の覚悟

夏川草介の「神様のカルテ 3」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、シリーズ第一作の「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞している。本書では、信州で地域医療に従事する医師で主人公栗原一止(イチさん)と、それを支える愛妻の山岳写真家榛名(ハルさん)の、厳しいながらも心温まる日々と、前作で亡くなった本庄医院内科副部長古狐先生こと内藤医師の補充で赴任した女医の小幡医師を巡る一止の、医師としての葛藤が描かれている。
 第一話「夏祭り」:本庄病院の救急外来に、アルコール性肝硬変で通院経験のある横田が搬送されて来る。一止が帰