「夏川草介」の日記一覧

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神業の内視鏡手術

 夏川草介の「スピノザの診察室」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞し、作家としてもデビューしている。本書は、最愛の妹の忘れ形見を育てるために、大学内での昇進を諦め、地域医療の道を選択した凄腕の医者の姿を描いた作品である。  物語は真夏の京都の住宅街で、地域病院である原田病院の三十八歳の内科医のマチ先生こと雄町哲…

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神様のカルテ

良い本を手にする確率はオータニさんの打率より低いように思う。 と云うからにはゼロではなく、時々出会うと云う事でもある。 もちろん良し悪しの基準は自分の主観であり、本を書いたことのないド素人の感想だから、私の基準から漏れた作者の方は気にする必要はないし、気にしてはいないと思う。 サスペンスからラブラブもの、オカルト、純文学や時代小説までと、私のジャンルは幅広い。 総じて、気に入…

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病む人がいるならば

 夏川草介の「レッドゾーン」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞し、作家としてもデビューしている。本書は、長野県の中規模病院で、命がけでコロナ診療の最前線に立つた、医者を初めとする医療従事者達の姿を描いたドキュメント小説であり、前作「臨床の砦」の前日譚である。  物語の舞台は北アルプスの麓にある信濃山病院であり、…

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砦・とりで

   ~~~ 読書感想 ~~~ 臨床の砦 夏川草介 評価 ☆☆☆☆☆ 緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作 「この戦、負けますね」 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ 信濃山病院の内科医である。 1年近くコロナ診療を続けてきたが、令和2年年末 から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い 患者が数多く出てきている。 医療従事者たちは、この1年、誰もまともに 休みを取れていない。世間…

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始まりの木

   ~~ 読書感想 ~~~ 始まりの木 夏川草介  評価 ☆☆☆☆ 旅の準備をしたまえ。これからは民俗学の出番だ-。 長野、京都などを舞台に、生きること、学ぶこと の意味を問う、木と森と、空と大地と、 ヒトの心の物語。 「少しばかり不思議な話を書きました。 木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」         --夏川草介 第一話 寄り道 【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木…

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この戦、負けますね

 夏川草介の「臨床の砦」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞し、作家としてもデビューしている。本書は、長野県の中規模病院で、命がけでコロナ診療の最前線に立つた、医者を初めとする医療従事者達の姿を描いたドキュメント小説であり、第三波が到来した2021年1月3日から2月1日までの、「臨床の砦」の様子が詳細に描かれている…

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臨床の砦 を読みました

【神様のカルテ】書いた人  夏川草介が 書いた 昨日発売の【臨床の砦】を読みました  時々 ママから聞いていた 現場の話 赤裸々に 書いてあります やっぱりこんななんだ  コロナ収まるまでに 医療現場は 持ちこたえられるのかな

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巨木に宿るもの

 夏川草介の「始まりの木」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞し、作家としてもデビューしている。本書は、指導教官である民俗学の偏屈な准教授のお供で、日本中を旅する女子大学院生を主人公として、学ぶことの意味を問い質す物語である。  本書の主人公の藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の修士課程一年目のの大学院生であり、所…

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著者別インデックス:国内(夏川草介)

1.神様のカルテ 1 (2009.09)   https://smcb.jp/diaries/4284691 2.神様のカルテ 2 (2010.10)   https://smcb.jp/diaries/5246178 3.神様のカルテ 3 (2012.08)   https://smcb.jp/diaries/5392426 4.神様のカルテ 0 (2015.03)   http…

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安曇野に咲く花

 夏川草介の「勿忘草(わすれなぐさ)の咲く町で-安曇野診療記」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞し、作家としてもデビューしている。本書は、信濃大学医学部を卒業した後、松本市郊外にある梓川病院で研修を開始した新人研修医の桂正太郎と、彼を温かく見守る、同病院に勤務して三年目の内科の看護師の月岡美琴の、激動の日々を描い…

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29歳の膵臓がん

 夏川草介の「新章神様のカルテ」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、シリーズ第一作の「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞している。本書は、信濃大学医学部医学部に入局するとともに、大学院で研究を行う主人公栗原一止の激動の日々を描いた連作短編集である。  主人公栗原一止(イチさん)は、大学病院で消化器内科医として勤務を始めて2年目になるが、「引きの栗原」…

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本を取り巻く迷宮

 夏川草介の「本を守ろうとする猫の話」を読了した。著者は長野県で地域医療に従事する現役の医師であるが、第10回小学館文庫小説賞を受賞した「神様のカルテ」で作家としてもデビューしている。本書では、古書店を営んでいた祖父を突然失った高校生が、突然現れた人語を解するトラネコに導かれ、危機に陥っていた本を救う物語が描かれる。  物語の主人公の夏木林太郎は、背が低めで眼鏡をかけており、運動神経がなく、成績…

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帰るために登る山

夏川草介の「神様のカルテ 0」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、シリーズ第一作の「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞している。本シリーズは、信州で地域医療に従事する医師で主人公の栗原一止(イチさん)の大学時代から、一止を支える愛妻の山岳写真家榛名(ハルさん)と知り合って結婚する以前を描いた、シリーズの前日譚に当る連続短編集である。  「有明」:本編…

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ベテラン女医の覚悟

夏川草介の「神様のカルテ 3」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、シリーズ第一作の「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞している。本書では、信州で地域医療に従事する医師で主人公栗原一止(イチさん)と、それを支える愛妻の山岳写真家榛名(ハルさん)の、厳しいながらも心温まる日々と、前作で亡くなった本庄医院内科副部長古狐先生こと内藤医師の補充で赴任した女医の…

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遥かなる御嶽山の威容

夏川草介の「神様のカルテ 2」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する現役の医師で、前作の「神様のカルテ」により第10回小学館文庫小説賞を受賞している。本書では、前作に引き続き、信州松本の本庄病院に残り、地域医療に従事する主人公栗原一止(イチさん)の苛酷な日々、愛妻の山岳写真家榛名(ハルさん)を始めとする周囲の人々との心の交流が描かれている。物語は、イチとハルが、厳寒の信州王ヶ頭で木…

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北アルプスの麓にて

夏川草介の「神様のカルテ」を読了した。著者は、長野県の病院で地域医療に従事する医師で、本書により第10回小学館文庫小説賞を受賞し、作家としてデビューしている。  本書の主人公栗原一止は、夏目漱石の「草枕」をこよなく愛する内科医である。彼の勤務先で信州松本にある本庄病院が、365日24時間の診療を謳い文句にしているため、本来専門ではない救急医も兼ねており、時には数日間帰宅できないこともある毎日を過…