生死を仲介する者

宮部みゆきの「泣き童子(わらし)−三島屋変調百物語参之続−」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」、「あんじゅう」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第三作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。故有って川崎から江戸に出て来ている三島屋の姪おちかが主人公で、叔父の伊兵衛の計らいで百物語の聴き手になるという設定は、前編と変わらない。
 第一話「魂取の池」:いつもとは異なり、口入屋の灯庵老人を通さず、伊兵衛自身の知り合いの紹介で、若い娘の話を聞くことになる。冬の始めであり、二人は一