「宮部みゆき」の日記一覧

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作家の知的好奇心

 宮部みゆきの「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本 2015-2019」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。  本書は、著者が読売新聞の読書委員として、同紙の日曜日朝刊に掲載されている書評欄の「本よみうり堂」に寄稿した書評を収録したものである。収録期間は2015年から2019年までの五年間であり、収録作品は128冊である。…

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おちか母となる

 宮部みゆきの「青瓜不動-三島屋変調百物語九之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は三島屋変調百物語シリーズの第九作目の中短編集であり、著者お得意の江戸怪異譚である。なお、本書では、三島屋の黒白の間における先代の聞き手のおちかは、待望の出産を遂げている。   「序」:本書では聞き手の富次郎の兄で、三島屋の跡取りの伊一郎が修…

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作家デビュー三十周年を記念して

 宮部みゆきの「宮部みゆき全一冊」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、著者の作家デビュー三十周年を記念して2018年に刊行されたもので、単行本未収録の掌編小説や対談等が多数収録されている。  本書の冒頭に掲載されているロングインタビューでは、著者の著名な作品十一冊の執筆の経緯が書かれているが、私は個人的にはそのインタビューが…

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宮部みゆき の 「青瓜不動 三島屋変調百物語九之続」

★3.3 第9巻の第38~。 【青瓜不動】 行く当てのない女たちのため土から生まれた不動明王。未婚の女が子を宿した地獄、嫁いでも子のない地獄、子を生むことだけを期待の姑、子を生んでも嫁をかまわない夫、そんな苦難の女が洞泉庵に集まってくる。その畑から生じた不動明王の顔はうり坊の模様。うりんぼ様と呼ばれている。行然坊はおちかの出産に際し、この不動明王像を送り込んだが、運んできた娘、いねに黒白…

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ブラックな俳句

 宮部みゆきの「ぼんぼん彩句」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、十二句の俳句をモティーフとし、少しビターな内容の短編小説に仕上げた作品を収録した短編集である。  「枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる」:アツコが寿退社をした直後、婚約者から婚約破棄を通告される。浮気をしていた彼は、その相手を妊娠させていた。失意のアツコは経路図…

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八百万の神様の博打

 宮部みゆきの「よって件のごとし-三島屋変調百物語八之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」「黒武御神火御殿」「よって件のごとし」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第八作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。なお、三島屋の黒白の間における聞き手は「あやかし草紙…

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【読書】「ソロモンの偽証」全6巻(宮部みゆき・新潮文庫)

  この作品は、1995年に成島出監督により映画化され、それは映画館で見た。しかし、原作の方は、ミステリーとしては異例の全6巻、3199ページ、(原稿用紙4700枚)という超長編のため、今まで読むのを敬遠してきたのだが、たまたま全6巻揃って売っているのを見て思い出し、購入して読んでみることにした。   クリスマスイブの夜、東京の城東第三中学2年A組の生徒柏木卓也が校舎の屋上から落ちて死んで…

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政五郎とおでこの登場

 宮部みゆきの「子宝船-きたきた捕物帖 2-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、元岡っ引きの手下で文庫の振り売りの北一と、武家出身らしいが風呂屋の釜焚きという謎の人物の喜多次という、ともに身寄りのない二人の若者を主人公とした捕物帳の中篇集である。なお、「おでこの中身」と「人魚の毒」は一続きの物語である。  「子宝船」:北…

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宮部みゆきの「よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続」

★3.3 シリーズ8巻目、3つの物語。 「賽子と虻(さいころとあぶ)」 上州の村で玉の輿の縁談があった16歳の姉が、村の娘の妬みで虻に祟られた。その身代わりになった弟の11歳の餅太郎が経験した神の世界の物語。この地方で祀るのは博打の神様〈ろくめん様〉、そこに居候しているのが〈虻の神〉だった。餅太郎は八百万の神が集う旅籠町で奉仕することになるのだが、半分あの世に足を踏み入れた状態で、…

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霊魂の見える男

 宮部みゆきの「魂手形-三島屋変調百物語七之続-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」「黒武御神火御殿」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第七作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。本書の前作から、三島屋の黒白の間における聞き手が三島屋の姪のおちかから、次男の富次…

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著者別インデックス:国内(宮部みゆき)

1.パーフェクト・ブルー-元警察犬「マサ」シリーズ​- (1989.02) 2.魔術はささやく (1989.12) 3.我らが隣人の犯罪 (1990.01) 4.東京殺人暮色(改題:東京下町殺人暮色、刑事の子) (1990.04) 5.レベル7 (1990.09) 6.龍は眠る (1991.02) 7.本所深川ふしぎ草紙 (1991.04) 8.返事はいらない (1991.10) …

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「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき著

杉村三郎シリーズの五作目。第三作までは、主人公の杉村三郎が逆玉婚で妻の父親が経営する大会社に勤務する心の広いサラリーマンとして扱われていた。その後、妻が不倫して離婚。義父が経営する大会社も退職。現在は東京の片隅で私立探偵業として糊口をしのいでいる。 杉村三郎の人徳ゆえ、探偵の元にはそれなりに仕事が舞い込んでくる。ただ、依頼は刑事事件ではない。家族の中の軋轢や地域の小さな事件の調査だ。 登場人…

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【読書】本所深川ふしぎ草紙

【読書】本所深川ふしぎ草紙 題名:本所深川ふしぎ草紙 作者:宮部みゆき  最近時代小説に目覚めたお気に入りさんから、イベントの時にお借りした一冊(^_^)。  宮部みゆきさんの作品は、初期の頃の作品を何冊か読んだことがあるのだが、時代小説は読んだことがなかった。  読んだ本も、もう20年ほど前の読書なので、内容をほとんど覚えていない(^_^;)。  その頃は、図書館で大量に本を借りては乱読…

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「楽園  上・下」   宮部みゆき

最近本を読むことがめっきり減った。 ステイホームで時間はあるはずだけど 図書館はコロナのため2カ月閉館していて本を借りることが出来なかった。 大阪の家にも感染を恐れて帰ることが出来ず 往復電車での読書の機会が無くなった。 電車の中は 私にとって貴重な読書タイムだったのに 大幅にその機会が減ってしまって… なんていうのは言い訳に過ぎない。 単に読むことが面倒になってきているだけのことだろう。…

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新シリーズ開幕

 宮部みゆきの「きたきた捕物帖」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は時代小説の新シリーズであり、北一と喜多次という、ともに身寄りのない二人の若者を主人公とした、江戸時代を舞台にした捕物帳の連作短編集である。  主人公の一人で十六歳の北一は、幼い時に迷子になっているところを、深川元町の岡っ引きの文庫屋の千吉親分に拾われ、それ以来親…

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流罪になった切支丹の呪い

 宮部みゆきの「黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第六作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。本書の前作で、シリーズ開始以来の百物語の聞き手のおちかが嫁に行き、本書から三島屋の黒白の間に…