帚木蓬生の「天に星 地に花」。

★4.0  592頁にもおよぶ大作。久留米藩の御原郡井上村の大庄屋の次男に生まれた庄十郎の目を通し、享保13年と宝暦4年の農民一揆を描いている。幼い頃に疱瘡に罹った庄十郎は、看病した母親が伝染して亡くなったことがきっかけで医師の道を志す。父親に連れられ、善導寺に集結した農民一揆(享保)を目の当たりにし、一揆を見事に治めた若き家老(稲次因幡守)を慕う。しかし、人別銀ほかの厳しい新たな賦課に耐えかねた農民が起こした宝暦4年の一揆は、賦課は取り下げられたものの、農民側に多大な犠牲が強いられた。作者の地元の話だけに「水神」同様に迫力がある。

家老の稲次因幡守1