ボヘミア版千夜一夜物語

フランティシェク・クプカの「カールシュタイン城夜話」を読了した。著者(1894年生〜1961年歿)はチェコスロバキアの散文作家、詩人、劇作家、文学史家、翻訳家であり、第一次世界大戦に従軍してロシア軍の捕虜、第二次世界大戦中はゲシュタポによりベルリンで投獄、戦後はブルガリア大使を務めるなど、多彩な人生を送っている。
 1371年、時の神聖ローマ皇帝カレル四世は、神聖ローマ帝国の首都プラハの宮廷で毒(?)を盛られたため、プラハ郊外南西30kmのカールシュタイン城に滞在して養生する。本書は、カレル四世の養生に近侍した三人の古くからの側近達が、皇帝の無聊を慰める