無想の抜刀術

木下昌輝の「宇喜多の捨て嫁」を読了した。著者は歴史・時代小説作家で、表題作で第92回オール讀物新人賞を受賞しており、月刊誌に掲載された短編2篇に書き下ろしの短編4編を加えた本書で単行本デビューを果たしている。
 本書の主人公は、斎藤道三や松永久秀に並ぶ悪人とされる宇喜多直家で、妻の実家や娘の嫁ぎ先を謀略を用いて次々と攻め滅ぼした一代の梟雄であるが、本書では直家の本当の姿は、世間に知られているものとは異なるとの視点で描かれている。
 「宇喜多の捨て嫁」:直家の四女・於葉を中心に据えた物語。嫁に出した娘を捨石、捨て駒の様に扱うことから、「宇喜多の捨て嫁」と悪