乙川優三郎の「男の縁  自撰短篇集 (武家篇)」。

★3.7  武家ものの8つの短編。

「悪名」と「男の縁」は初出、「旅の陽射し」は《むこうだんばら亭》から、「九月の瓜」「梅雨のなごり」「向椿山」「磯波」は《武家用心集》から、「柴の家」は《芥火》から作者自撰により再編集したもの。

いずれも「生きる」の3編を思わすようなしっとりとしたいい作品である。

武家の《家》というものへの拘り、しがらみ、男女のボタンの掛け違いといったものを切なく描いていくが、最後はほんのりと温かみを残した終わり方で、読者に何かしなければというパワーを与えてくれるよう。

《市井篇》も読んでみよう。

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