「ここでしたか。東海林司さん、探しましたよ」
男が振り向くとそこには全身黒ずくめの男がにこやかに立っていた。
かなり物持ちの良い性格なんだろう。
その黒いスーツはかなりくたびれているように見えた。
「八ちゃん、フルネームで呼ぶなよ」
「決まりですから。
あなたこそ、『八ちゃん』なんて気安く呼ばないでください。
友達じゃないんですから。
もっともターゲットと親しくなる事も禁じられてますけどね」
「探すも何もあんたが美人に見とれていたせいだろ?
てっきり、一緒に歩いていると思ってたのにさ。
気が付いたらあんたはいなくなってた」
「そ、そん