きのうの裡に終わった恐怖

辻村深月の「きのうの影踏み」を読了した。著者はメフィスト賞を受賞してデビューしたミステリー作家で、直木賞も受賞している。最近はミステリー以外の分野の作品も多く、本書も現代風に描かれた怪談をテーマとした短編集である。なお、著者インタビューで、著者は以前から怪談を書いてきた旨のことが述べられているが、ホラーっぽい作品はあったが、怪談を扱った作品は本書が初めてである様に思う。また、本書の収録作品の内の幾つかは実話だとのことであるが、特にそのことを詮索する必要はないと思う。
 本書には13篇の短編が収録されているが、その内「丘の上」、「殺したもの」、「やみあかご