■待ちわびる春
百人一首には仲麻呂(七)から西行(八十六)に
いたるまでいくつもの月の歌が選ばれています。
しかし太陽や日の光を詠んだ歌となると、
かろうじて紀友則の「光のどけき」(三十三)があるだけ
なのです。
実は王朝和歌全体を見渡しても、
太陽や日の光を題材とした歌はわずかしかないのです。
興味深いのは、その少ない歌の大半が春の日の光を
詠っている事。
今朝のまは光のどかにかすむ日を
雪げにかへす春の夕風
(新続古今和歌集 雑 順徳院御歌)
今朝のうちは(春らしく)日の光がのどかにかすんで
いたの