朝井まかての「眩 (くらら)」。

★3.7 表紙は「吉原格子先之図」。珍しく光と影を浮世絵に持ち込んだ作品。

お栄は葛飾北斎の娘、北斎は90歳と長命であったが、その片腕として画業に打ち込むお栄は興味深い存在ではあった。

その人物像を生涯を語る物語としてうまく作り込んでいる。

娘の視点で北斎を描いているが、河治和香の「国芳一門浮世絵草紙」に通じるところもあって面白い。

北斎が中気で倒れたとき、滝沢馬琴が訪れ「いつまで養生しておる」と一括する場面もありそうで・・・。

こんな親娘、お互いの存在があってこそ、絵師の道に打ち込めたんだろうなと思わせてくれる。

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