秋霜烈日の決意

葉室麟の「秋霜」を読了した。著者は直木賞作家で、時代・歴史小説がテリトリーであり、出身地である北九州を舞台とした作品が多い。本書は直木賞受賞作の「蜩ノ記」を初めとする、豊後の架空の小藩羽根藩を舞台としたシリーズの第四作である。
 本書はシリーズ第三作「春雷」の続編であり、物語の設定は全て前作のものを引き継いでいる。
 鬼と呼ばれた多聞隼人が起こした騒動のために隠居させられた前藩主の三浦兼清は、隼人を逆恨みし、欅屋敷の楓等、隼人と関係のあった人々の抹殺を考えていた。一方、幕閣は、兼清の非をさらに暴き、羽根藩を改易するために巡検使を派遣することにする。それを