カルトの終焉

中村文則の「教団X」を読了した。著者は芥川賞作家で、純文学畑の出身であるが、大江健三郎賞を受賞した「掏摸」の様に、ミステリー風の作品もあり、最近はミステリー風の作品が多くなっている。本書は、愛する女性を探す平凡な男性が巻き込まれた、セックスカルト教団のテロ事件と教祖の最期を描いたものである。
 楢崎透は友人の小林に、ふとしたことから付きあい出したにも拘らず、自分の前から姿を消した立花涼子の行方の調査を依頼する。駆け出し探偵の小林は、涼子の行方の手掛かりを探し出してくるが、涼子の行方を探すのは止める様に楢崎に忠告するが、楢崎はそれを聞き入れない。
 楢崎は