ノンキャリアの葛藤

 今野敏の「隠蔽捜査 6 去就」を読了した。著者は、警察小説、SF、バイオレンス・アクション、伝奇小説、オカルト等、広い作風で知られた小説家で、現在、日本推理作家協会理事長である。本書は、警察庁のキャリア官僚でありながら、事情により所轄署の署長を務める竜崎伸也の活躍を描く「隠蔽捜査」シリーズの第8作(途中で3.5と5.5がある)である。
 続発するストーカー事件を憂慮した警察庁が、警視庁および全国の都道府県警に対し、ストーカーに関するセクションを作る様に指示する。竜崎伸也が所長を務める大森署は、ストーカー対策チームの編成が遅れ、方面本部から督促を受ける。