「ある島の可能性」 ミシェル・ウエルベック (著), 中村佳子 (翻訳)

☆☆☆☆★

懲りずに、ウエルベックに戻ってきた。 「地図と領土」 「プラットフォーム」に次いで三冊目。「永遠の命」という、古典的テーマに斬新な切り口で挑んだ大作。また、打ちのめされる。

鬼才ウエルベックの面目躍如、奇想天外な構成で物語が展開する。前半は、永遠に再生され続ける命を手にしたネオヒューマンである24世代目と25世代目のダニエルが、数千年の未来から振り返る初代(人間)ダニエルの物語。成功したコメディアンであったダニエルは、老いとともに愛を失い絶望に苦しむ。その苦悩の日々に、ダニエルが巻き込まれる信仰宗教の誕生物語。

ダニエルを通して描か