勢揃いした家族

 三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖 7」を読了した。著者は、ホラー系統のライトノベル出身の作家であるが、本シリーズを上梓した以降は、ミステリーも手掛けている。本シリーズは、北鎌倉にある古書店「ビブリア古書堂」の美人女主人篠川栞子が探偵役、従業員の五浦大輔がワトソン役の古書に纏わるミステリーであり、本書はシリーズの完結編である。
 ある日ビブリア古書堂を、舞砂道具店店主の吉原喜市と名乗る老人が訪れるが、彼は晩年の久我山尚大の書生兼番頭だった。吉原は栞子に、久我山真理から格安で入手した太宰治の「斜陽」の初版本を800万円で譲ると持ち掛ける。田中敏雄との約束