衆愚政治の果てに

 塩野七生の「ギリシア人の物語 2 民主政の成熟と崩壊」を読了した。著者は歴史小説家で、「ローマ人の物語」や「十字軍物語」等、西欧の古代から中世にかけての歴史小説で著名である。本書は、古代ギリシャの歴史に関する新シリーズの第二巻であり、主として超大国ペルシャ帝国を倒したアテネの勃興とその終焉を描いたものである。
 前巻の時にも述べたが、本書で描かれる古代ギリシャ人は、現代のギリシャ人とは人種的な繋がりはない。この当時、ギリシャという統一国家は存在せず、400程度の都市国家に分かれて相争っており、アテネ人、スパルタ人という概念はあっても、ギリシャ人という概