宮部みゆきの「この世の春 上下」。

《上巻》
宝永7(1710)年の下野北見藩2万石、藩主は6代北見重興。

序盤の動乱は、重興が乱心で押し込めとなり、郷士から取り立てられた伊東成孝が失脚し咎を。

乱心とは何なのか、伊東成孝はなぜ各務家を頼ったのか、石野織部家がなぜ辞職したのか、これらは中ごろで明らかにされるが新たな謎が。

重興に宿る3人の人格とは、出土村の繰屋一族はなぜ根切にされたのか。重興の纏う殺戮癖の過去は。

これらの疑問に休む暇なく引き込まれてしまった。主人公に多紀という22歳の出戻り娘を持ってきたことには「孤宿の人」の頃とは隔世の感がある。★3.7

《下巻》
北見藩に宿る