連載:身の回りの事どもの中から

老いの戯言

暦の上では、立冬も過ぎた。朝晩は冷え込むようにもなってきた。何となくうら寂しくもなってきた。
 この日記ひとつ、かつては何でもなく一気に書き殴っていたのに―打ち殴ってかも知れないが―それすら書くのが億劫になってきた。気力が失せてきた。
 どうしようもない老いの現実というものなのだろうか。

 身体的には、疲れやすくなってきた。すぐに横になるようになってきた。そんなことは去年までは殆どなかったのに。体の動きも緩慢になってきた。
 かつて帝京大学に勤めていた頃、帝京大学は丘陵地帯に位置しており、正門から坂を上って本館に至るようになっていた。その坂はある程度急