イタイイタイ病の被害者

 深水黎一郎の「エコール・ド・パリ殺人事件-レザルティスト・モウディ-」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了という異色の経歴の持ち主で、「薀蓄」系のミステリーが得意とされている。本書は、薀蓄系の「芸術探偵」神泉寺瞬一郎が登場するシリーズ第一作である。
 タイトルの「エコール・ド・パリ」とは、本書中で詳述されているが、1920年代から40年代にかけてパリで活躍した異邦人の画家達のことで、モディリアーニ、シャガール、スーティン、