賢木 7
藤壺は、故桐壺院の一周忌の御法事に引き続き『法華経』全八巻を朝座・夕座の二度、四日間連続講説する法会、である御八講の準備にいろいろと気を遣っていた。
十一月一日、故桐壷院の御命日である御国忌の日に、雪がたいそう降った。源氏から藤壺に便りを差し上げた。
別れにし今日は来れども見し人に
行き逢ふほどをいつと頼まむ
(故桐壺院にお別れ申した日がめぐって来ましたが、雪はふってもその人にまた行きめぐり逢える時はいつと期待できようか)
二人とも今日は悲しい日であるので藤壺からも返歌があった。
ながらふるほどは憂けれど