連載:運慶から②

「泣きっ面に蜂」

「泣きっ面に?」
「蜂!」

イロハかるたはお年寄りなら大抵知っている。さっき食べたおやつのことは忘れても、脳のどこかに仕舞われている記憶がうまく引き出されるのだろう。初めの言葉を言うと、婆様二人が答え、爺様がときどき面白いことを挟んで来る。みんなで笑った。

前回の日記にも書いたが、私は冬至が一番昼間が短いのだから、冬至が過ぎれば日の出が早くなり、日の入りは遅くなるものだとばかり思っていた。ところが、冬至から半月ほど後が一年で最も日の出が遅くなり、逆に日の入りは冬至の半月ほど前が一番早いのだという。

60年も生きて来て、こんな日常的なことにすら気付い