朝の庭占めるかに紅立葵

    「アロマ」の句

 
 朝の庭占めるかに紅立葵

 梅雨の前河原に皆で蛍狩り

 初蝉に心誘われ小路行く

 潮騒は石を誘いごろごろと

 青空に夾竹桃の燃え立って

 朝顔は大輪の紺露湛え

 水着で歩く江の島湘南に

 夏の朝薄い鈍色野を覆う

 柳川に合歓の花見て川下り

 山荘の窓辺に薊凛々と冴え

 街道に磐梯山は空を突く
 
 

    「高橋淡路女」の句


 風鈴や一と泣きしたる児の機嫌

 どくだみの花の白さに夜風あり

 花たけて藺の伏しなびく汀かな

 吸物に青柚かをりて夏浅し

 浴衣裁つこゝろ愉しき薄暑かな

 武者人