揚羽蝶数匹近くを飛び交って

    「アロマ」の句


 朧月宵に仄かな光帯び

 花冷えの境内に来て写真撮る

 車窓に枝垂れ紅梅鮮やかに

 梅園に和んで家族逍遥す

 春雨に鶯鳴いて厨窓

 揚羽蝶数匹近くを飛び交って

 藤色のセーターを着て春麗

 生垣に赤い新芽の輝いて

 春の雪どさっと積り大わらわ

 海透けて潮蒼々春の旅

 無人駅ホームに菜の花一両車

 春の雪朝刊冷たく袋入り
 

   「篠田悌二郎」の句


 沈丁や色をふくみて浅き春

 白酒や玻璃さかづきの花模様
 
 家毎に門橋持てり春の川

 子らの声春夜の門を馳けきたる

 ひと本の遠山桜日があた