連載:日常3

「君子蘭」

会議があって遅くなった。くたくただった。帰宅すると「ただいま」と『桃太郎』に言っている。室内に入れておいてよかった、雨に当たったら花が傷んでいた。

咲き切ったら本当に大きい。10センチはある。後ろに控えているのはクンシラン。高貴な花のイメージから付いた名前だと言うが、この椿の前では霞んでしまう。

尤も違う理由で私はこの花に惚れ直した。橙色が一般的で、ラン展で見るようなラン特有のユニークさや派手さに欠ける。そのせいか私はずっとほったらかしていた。何年も葉だけだったが、捨てる気にもなれなかった。

冬を迎える前にリビングに入れた。水やりを欠かさなかった。