目黒新富士からの絶景

 逢坂剛の「奔流恐るるにたらず 重蔵始末 8 完結篇」を読了した。著者は直木賞作家であり、ミステリー出身であるが、本シリーズや最近では「長谷川平蔵(鬼平)」シリーズ等、時代小説も幅広く手掛けている。本書は、蝦夷地探検で知られる近藤重蔵を主人公としたシリーズの第八作で、重蔵の後半生が描いたものである。
 前作で描かれた第四回の蝦夷地巡検以降、享和3年(1803年)に譴責により小普請方入りしていた重蔵は、ロシア人の蝦夷地侵入事件が頻発することもあり、文化4年(1807年)に再び松前奉行出役となり五度目の蝦夷入り地巡検を命じられる。箱館で蝦夷地の状況を聞いた巡