「逢坂剛」の日記一覧

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黒い月の女神

 逢坂剛の「ブラック・ムーン」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、箱館戦争で戦死した筈の元新選組副長土方歳三が生きてアメリカに渡っていたという、架空の物語のシリーズ第三作である。  前作で元新選組隊士の高脇正作とネヴァダ準州で決闘して勝利しながら、断崖から谷川に転落した内藤隼人こと土方歳三は、短期記…

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ある直木賞作家の独白

 逢坂剛の「ご機嫌剛爺-人生は、面白く楽しく!-」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、八十歳を目前にした著者の、これまでの人生の「語り下ろし」である。本書はエッセイ風ではあるが、著者が「書き下ろし」ではなく、「語り下ろし」と称していることが示す通り、著者がインタビューで語った内容を、女性編集者が文章…

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バーから消えた女

 逢坂剛の「地獄への近道」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、斉木警部補、梢田巡査長の幼馴染の凸凹コンビを主人公とした、ユーモアミステリーの御茶ノ水警察署シリーズの第六作であり、本シリーズ初の文庫オリジナル作品である。  「影のない女」:御茶ノ水署生活安全課保安二係係長の斉木斉警部補と梢田威巡査長は…

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逢坂剛 の 道連れ彦輔 居直り道中

★3.3 シリーズ3作目。鹿角彦輔は小人目付の鹿角家の3男坊、道連れという人を目的地へ送り届ける用心棒を生業とする。 今回の仕事は小人目付の神宮迅一郎からの依頼で、小藩の藩士の娘・15歳の菊野を京まで送れというもの。菊野は若衆姿だが口のきけない娘、出女の調べは厳しい。同行するのは迅一郎の手先のめくぼの藤八、同じ長屋の扇売りの勧進かなめ、それと菊野の世話係の女中おりく。 物語は江戸での彦輔の腕…

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口の利けない美少女

 逢坂剛の「道連れ彦輔-居直り道中-」を再読した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、御家人の三男で十貫一刀流の名手の鹿角彦輔を主人公とした「道連れ彦輔」シリーズの第三作で、若侍姿で口の利けない美少女と主人公の、京を目指す中山道の道連れの旅を描いた時代小説である。なお、ここで「道連れ」とは、主として女性の外出や…

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著者別インデックス:国内(逢坂剛)

1.裏切りの日日-百舌シリーズ 0- (1981.02) 2.空白の研究 (1981.10) 3.赤い熱気球(改題:コルドバの女豹) (1982.06) 4.幻のマドリード通信 (1983.02) 5.スペイン灼熱の午後 (1984.02) 6.情状鑑定人 (1985.04) 7.百舌の叫ぶ夜-百舌シリーズ 1- (1986.02) 8.カディスの赤い星 (1986.07) 9.クリヴィツキー症…

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ギターの楽譜が書かれた古文書

 逢坂剛の「鏡影劇場-Das Spiegelbiltheater-」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、ドイツ浪漫派の幻想小説作家E.T.A.ホフマンの後半生を描いた謎の手記を巡るビブリオ・ミステリーである。  物語の発端は、著者である逢坂剛の自宅に、本間鋭太という人物から、とある手記が記録された、…

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如来像の胎内の小判

 逢坂剛の「平蔵の母」を読了した。著者は直木賞作家であり、もともとミステリー出身であるが、最近は時代小説を手掛けろことも多い。本書は、火付盗賊改方長官長谷川平蔵、すなわち、鬼平を主人公とした逢坂版「鬼平犯科帳」の第四作で、6篇からなる連続短編時代小説集である。  「平蔵の母」:清澄楼の仲居で火付盗賊改の手先の実於が、最近評判の三河町の料理屋「元喜世」で寝込んでいる客の老婆が、「本所の銕三郎」に会…

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逢坂剛 の 平蔵の母 平蔵シリーズ4

★3.4 シリーズ4作目、6つの連作。 物語によって長短があり、2編目の「せせりの辦介」は全体の1/3近くを占める。 「平蔵の母」では妻の重子(しげこ)と嫡男の辰蔵宣義(のぶのり)を妻の実家に託しているとある。妻の実家は御船手頭の大橋与惣兵衛親英の屋敷は市ヶ谷御門に近い土手三番町通りにある。このあたりはTVドラマと異なる。 平蔵の配下の同心が手先と連絡を取る場所は3つ。深川南六間堀町の北之橋…

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逢坂剛の小説

昔、会社員だった時は、長い通勤時間中に文庫本を読むのを習慣にしていたが、今はスマホを見ている人ばかり。 若者の読書離れが進むのは、将来の日本にとって好ましくないように思う。 私は時代劇とハードボイルドもの、ライトミステリーなどが好みで、好きな作家は佐伯泰英、ダン・ブラウン、逢坂剛、大沢在昌、浅田次郎など。 必要な本は市の図書館でネット予約しておくと、最寄りの図書館に届いたらメールで知らせて…

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アパッチに追われて

 逢坂剛の「最果ての決闘者」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、箱館戦争で戦死した筈の元新選組副長土方歳三が生きてアメリカに渡っていたという、架空の物語のシリーズ第二作である。  本書の物語は、1870年5月17日に始まる。ピンキーを撃った連邦保安官のマット・ティルマンは、記憶を失って内藤隼人と名乗…

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そして一人だけが残った

 逢坂剛の「百舌落とし」を読了した。著者は直木賞作家であり、ミステリー畑出身であるが、最近は時代小説も幅広く手掛けている。本書は公安警察小説の先駆けとなった「百舌シリーズ」の第七作で、完結編ある。  車椅子に乗り、妻の早智子と秘書兼雑用係の鳥藤和一と多摩川にバードウォッチングに出掛けた、引退した政治家の茂田井滋は、テグスで枝に結びつけられた百舌を見て驚く。後に判るが、その百舌は瞼を縫われており、…

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目黒新富士からの絶景

 逢坂剛の「奔流恐るるにたらず 重蔵始末 8 完結篇」を読了した。著者は直木賞作家であり、ミステリー出身であるが、本シリーズや最近では「長谷川平蔵(鬼平)」シリーズ等、時代小説も幅広く手掛けている。本書は、蝦夷地探検で知られる近藤重蔵を主人公としたシリーズの第八作で、重蔵の後半生が描いたものである。  前作で描かれた第四回の蝦夷地巡検以降、享和3年(1803年)に譴責により小普請方入りしていた重…

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逢坂剛 の 奔流恐るるにたらず  重蔵始末8

★3.3 シリーズ8作目で完結編。 16年かけた大作も最後を迎え感慨深い。最後は息子・富蔵のやくざ一家斬殺事件に連座し、江州の分部家にお預けとなり病没、59歳。 注)息子の富蔵は八丈島への流罪となり、「八丈実記」を残し、83歳で没している。 幼児の頃から神童と呼ばれ、5回もの蝦夷地御用を務め数多くの著作を残した。毀誉褒貶半相半ばする難しい人間像。最後に泳ぎと雷が嫌いだったと団平にもらすところ…

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賞金稼ぎサグワロ

 逢坂剛の「果てしなき追跡」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、箱館戦争で戦死した筈の元新選組副長土方歳三が生きてアメリカに渡っていたという、架空の物語である。  武蔵国日野の豪農の家に生まれた時枝新一郎、ゆらの兄妹は、幼い時から土方を兄と慕ってきたが、二人は長じて長崎でオランダ人のフルベッキに師事…

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平蔵と重蔵

 逢坂剛の「闇の平蔵」を読了した。著者は直木賞作家であり、もともとミステリー出身であるが、最近は時代小説を手掛けろことも多い。本書は、火付盗賊改方長官長谷川平蔵、すなわち、鬼平を主人公とした逢坂版「鬼平犯科帳」の第三作で、6篇からなる連続短編時代小説集である。  「飛鳥山」:平蔵が手先のりんを連れて市中見回りに出た際、八辻ケ原で仇討ち騒ぎに遭遇する。仇持ちは美青年の若侍小川新三郎で、父の敵西上伊…

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逢坂剛の「果てしなき追跡」。

★3.3 明治2年、米国へ向けて密航する男女。その名は土方歳三と時枝ゆら。 函館戦争で頭部を負傷した土方は記憶を無くし、米国商船で手当てを受けた。 サンフランシスコへ秘かに上陸した二人は追手・ティルマンを逃れ内陸へ。列車強盗やKKKの残党、インディアンなどに遭遇しながらの冒険談が展開。 最初に年表がある、何やらこれはシリーズもので「アリゾナ無宿」「逆襲の地平線」へと続くようだ。本書はそのエ…

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逢坂剛の「闇の平蔵」。

★3.3 シリーズ3作目。 6つの連作。前作までは平蔵が人前に顔を出さないことを軸にした物語が多かったが、今回はそうでもない。 平蔵の「読み」や「勘」を頼りの話が多く、話に捻りもなくてちょっと期待外れ。 「闇の平蔵」では加役としての松平左金吾が登場する。あの鞭を持つ近藤重蔵を伴って(「重蔵始末シリーズ」では同心橋場余一郎と小者の根岸団平を使って活躍したのだが・・・)。 平蔵組との絡みが面…