連載:日常3

「目に青葉」

「目に青葉 山ホトトギス?」
「初ガツオ!」

嬉しそうに答える婆様達。食堂の南側は床面から大きなサッシ窓になっていて、窓一面に新緑が溢れている。ついつい何度も「目に青葉」と言いたくなる。

仕事のない日、ウチにいると、これほどの新緑を見ることはできない。隣家の白い壁が迫っている。

私は朝起きれば必ずラジオかテレビを点け、ほぼ一日中何か機械的な音で満たされているから、鳥の囀りなど聞こえてこない。尤もいるのはカラスくらいだ。

「綺麗ねえ。何て言う花かしら。」
「ハナミズキですね。」
「いい名前ねえ。」

婆様達は個室の戸は開け放っているから、食堂から個