連載:

「エゴの花」

背中をじりじりと日に照らされ、すぐに暑くなった。近くの公園に入った。小さい割にベンチが多い。真直ぐ木陰にある椅子を目指した。私が真ん中に座り両脇に二人が座る。

「綺麗ねえ。中にいたらこんな青空見られないものね。」
スミ子さんは心から嬉しそうだ。
「そうよね、気持ちいいわねえ。」

このやり取りを数回繰り返す。マリコさんを見た。怒っている風でもない。彼女はスミ子さんが同じことを繰り返し言うと苛々してくる。

記憶力がそれほど衰えていないマリコさんはすぐ苛々し、「進んでしまった」スミ子さんはいつも嬉しそうだ。

マリコさんの後ろに白い花が見えた。釣鐘のよう