さんが書いた連載花の日記一覧

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「贅沢な朝」

朝、雨戸を開けるのが待ち遠しくてならない。豪華な椿が燦然と輝いている。それも3鉢も。その上、岩根絞が一輪咲いた。大き過ぎて動かせない鉢に植わっているから、いつも舞台の中央に鎮座している。数える気にならない程、今年は蕾を沢山付けた。 椿の根元は宿根草や買って来た花で埋めている。深い赤のガーデンシクラメンが俯き、名前の覚えられない黄色い花が微笑んでいる。昨日買って来た白いヒメウツギもこれから咲くは…

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「冬の朝」

外に出るとまだ暗いが、月は東に日は西に、ならぬ月は西の方角に、振り向くと東には尋常の明るさではない星が出ている。明けの明星だ。これだけで得した気分だ。5時のアラームにはさすがに起き上がりにくくなっているが、こうして外に出ただけで気持ちが高揚する。 高揚する理由はもう一つある。女子高校生の如く、自転車でワイアレスのイヤホンを耳に刺している。Toshiと一緒にご出勤だ。 秋葉原のヨドバシカメラは…

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「塩害?!」

右手の小指の先と手の甲に、5ミリほどの血豆が出来ている。 台風の後、葉の周囲が縮んだように枯れているのが何鉢もあった。こうなったら元に戻ることはないだろうと片付けた。ピーマンは引っこ抜いてもいい。大きくなり過ぎてアンバランスなコリウスは、もう一度台風が来たら持ちこたえられない、枝葉は思い切ってカットだ。 片付け始めたらあれもこれもすっきりとしたくなった。地面に映えていたトラノオは引っこ抜き、…

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「まだ9月なのに」

いつもは5時過ぎに目覚めるが、休みの日にはゆっくりする。8時前に起きた。小雨が降っている。ジョギングクラブはさぼることに決定。 一日中PCに向かったり、録画したテレビを見たり、午後にはお布団に入って山本一力を読んだりした。お昼ご飯をたっぷり頂いたので、このまま夜に突入するのはまずいと外に出た。 ずっと行ってないウォーキングコースに向かった。傘を抱えた婆様を追い越した。おやおや、真っ赤な鶏頭が…

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「花魁」

花魁に似ている。濃い化粧と派手な衣装、それでいて虚構の世界でしか生きられない儚い命。 ハイビスカスそっくりの大輪で、色もよく似ている。違うのは花びらの大きさと角度。咲く姿は「しどけない」としか言いようがない。あまりにも開けっぴろげで無防備。 ところが、夕方には萎んでしまう一日花。しかも不思議な咲き方をする。 カサブランカはすっと伸びた幹の天辺にだけ5,6輪花を付けるが、お前は幹の途中から伸…

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「マリリンモンロー」

リビングから満開のカサブランカが見える。この花も山百合に似て自分が持ちこたえられる花の限界を超えている。 水やりのときに一本が折れてしまった。剪定ばさみで折れた所から切った。蕊に付いた花粉を一本一本丁寧に切り落とす。お店で買ったカサブランカのように強い芳香がない。せめて部屋に飾ったら香るだろうか。 花瓶はどれにしよう。女王に負けない花瓶はない。女王を短くした。ついでに数種類の造花を差していた…

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「まるでジェットコースターだね」

上野で見たサツキにはさすがに叶わないが、美しさに遜色はない。部屋中所狭しと鉢が並んでいる。 公園の一角に並べた山野草が気になる。数は多くないし、それほど珍しいものがあるわけではないが、一つ一つが可愛らしい。一番驚いたのはオオバコだ。草取りをするとき、根が張っていて抜きにくいあれ。雑草だ。小さな鉢にミニが三つ並んでいる。人には単なる草に見えるものでも、こうして飾ると本当に可愛い。 販売している…

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「妄想の花」

りとむさんのコメントにあったこんな文を見たら、誰だって妄想が膨らむわ。 「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」 (昔年と同じように花は美しく咲くけれど、一緒にこの花を見た人はもはやこの世にはいない) あたし、あいつとは綺麗に別れたの。未練何てこれっぽっちもなかった。そりゃあ、オンナがいるってわかったときはショックだったわ。あまりにも悔しくて腹が立って、そのまま別れるだけじゃ気が済まなか…

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「エゴの花」

背中をじりじりと日に照らされ、すぐに暑くなった。近くの公園に入った。小さい割にベンチが多い。真直ぐ木陰にある椅子を目指した。私が真ん中に座り両脇に二人が座る。 「綺麗ねえ。中にいたらこんな青空見られないものね。」 スミ子さんは心から嬉しそうだ。 「そうよね、気持ちいいわねえ。」 このやり取りを数回繰り返す。マリコさんを見た。怒っている風でもない。彼女はスミ子さんが同じことを繰り返し言うと苛々…