赤とんぼ晩夏の草にホバリング 

 赤蜻蛉ふれたるものにとまりけり  松村蒼石 露

 赤蜻蛉まだびしよびしよの空の中  小檜山繁子

  赤蜻蛉まなかひに来て浮び澄む  日野草城

  赤蜻蛉むれて炎となりにけり  滝口照影

  赤蜻蛉もつとも激つ瀬に群るる  福田蓼汀

 赤蜻蛉三十路ふりむくこと多し  行方克巳

  赤蜻蛉乾きし音をたてにけり  黒坂紫陽子

  赤蜻蛉光に変りひかり殖ゆ  栗原加美

 赤蜻蛉分けて農夫の胸進む  西東三鬼

 赤蜻蛉夕日を乗せて飛んでをり  石井とし夫

  赤蜻蛉多く飛過てから庭に打つ水よ  北原白秋

  赤蜻蛉天の瑠璃には縫目な