曲物(わっぱ)に鱒ずし丸く桜色

 鯵寿司の駅弁に春惜しまんか  石塚友二 玉縄以後

 駅弁のなぜたのしきや雪崩止  石川桂郎 高蘆

 駅弁の温みを膝に十二月  鷹羽狩行

 駅弁の蓋の飯粒鳥曇り  門前正徳

 大船のホームにて買う鯵の鮨  アロマ

 駅弁の黒きこんにやく雁渡し 桂信子 緑夜

 駅弁の雪に濡れしを買ひ来り  高濱年尾 年尾句集

 駅弁の箱うつくしき春隣  小林松風

 駅弁の帆立匂はせ五能線  高澤良一 寒暑

 駅弁も松茸飯の京都かな  西堀貞子

 駅弁を食ひたくなりぬ秋の暮  高浜年尾

 駅弁を買つて友二の冬景色  渡邊白泉

 駅弁売り春富士の前往復