連載:介護

「仕事は喜びが無ければ続かない」

同僚が入浴の声掛けをすると、A子さんの返事は「入らない」だった。今まではその言葉を受け入れて、違う人を入浴させてきた。すると同僚が言った、
「足浴だけでもしてきたらいかがですか」
もう一人も応援した。
「そうですよ、毎日やってるじゃないですか」

私は車椅子の後ろに回り、取っ手を持った。
「いいですね、じゃあ足浴して来ましょう」
「いい」
それも拒否か。

「ちょっとどんな場所か見て来ましょう」
そう言って車椅子を押した。私がそう言ったのは、入浴の前に男性スタッフに「何かいい言葉掛けはないですか」と聞いたときに「連れてっちゃえばいいんだよ」と言われたこと