花魁に似ている。濃い化粧と派手な衣装、それでいて虚構の世界でしか生きられない儚い命。
ハイビスカスそっくりの大輪で、色もよく似ている。違うのは花びらの大きさと角度。咲く姿は「しどけない」としか言いようがない。あまりにも開けっぴろげで無防備。
ところが、夕方には萎んでしまう一日花。しかも不思議な咲き方をする。
カサブランカはすっと伸びた幹の天辺にだけ5,6輪花を付けるが、お前は幹の途中から伸びた枝の先端にも蕾を付ける。数えたら全部で30個以上もある。
朝玄関を出て新聞を取り出して振り向いたらお前がいた。一輪。後姿だった。前から見るとハイビスカスその