「西郷(せご)どん」-小説のあたまと文章リズム

はずれ。
「明治37年10月12日」が、「西郷(せご)どん」のあたま文。

わたしの好みは、井上ひさしが言う「いきなり核心から書く」。
つまり、「あることが終わったところから、さっとはじめる」文。

『雪国』の冒頭文のように。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。

「四里の道は長かった」。
『田舎教師』田山花袋

「蓮華寺は下宿を兼ねた」。
『破戒』島崎藤村

「山椒魚は悲しんだ」。
『山椒魚』井伏鱒二


小説家の文章には、最初からリズムあり。
「明治37年10月12日。その日上本能寺前町にある京都市役所の職員たちは、みな緊張を隠せない。