公園に若葉滴り一人座すベンチに孤独ひたすら碧

 瀧の大音響吾を孤立さす  津田清子

 茸山の茸の孤独に囲まるる  三谷 昭

 炭焼きは孤立無援に煙あぐ  末近国成

 虫鳴けば孤独も詩の肥しかな  富田潮児

 着飾りて磯巾着の孤独かな  市野川豊昭

 昼は疲れ夜は孤独な田掻牛  中山純子

 白という孤独運動靴の少年  高階健一

 白蚊帳に孤独の母が透きとほる  藤井 亘

 通販の黒いレースのワンピース  アロマ

 暖かな孤立ありけり試着室  隈元拓夫

 男と女海の孤独を泳ぎぬけ  三谷昭 獣身

 地下街の柱の孤独去年今年  戸板幽詩

 地虫こそ自我の孤独の声放つ  殿村 莵絲子