風に揺れ薊の野に夕茜

 滝径や花を終へたる鬼薊  五十嵐播水 播水句集

 地図にて辿るパウロの行路秋薊  宮脇白夜

 病人の機嫌鋭し秋薊  石田あき子

 噴煙か霧か一茎鬼薊  遠山 陽子

 平戸なるオランダ橋や秋薊  三宅逍記

 狼煙台跡一面の秋薊  石嶌岳

 恍惚の秋の薊とせゝり蝶  篠田悌二郎

 紅い秋薊花卉に生け野の風情  アロマ

 しくしくと虫載せてゐる鬼薊  飯島晴子

 もの音のここにと絶えて秋薊  中村汀女

 遠くまで雨脚見ゆる秋あざみ  岡本眸

 温泉山路のおほつゆたるる鬼薊  飯田蛇笏 春蘭

 海神のため円座敷く鬼薊  山口誓子

 鬼