鰊蕎麦旅の終わりに駅地下で

 月さすや年越蕎麦の蒸籠まで  水原秋櫻子 蘆雁

 月よけん今宵は蕎麦をもてなさん  高野素十

 月見蕎麦飽かねど無月また雨月  水原秋櫻子 蘆雁以後

 本降りになるや首途の蕎麦白き  河東碧梧桐

 松に菊蕎麦屋の庭の時雨かな  渡邊水巴 白日

 林間の蕎麦屋の客の梅雨景色  飯田龍太

 蕎麦啜る鄙びた味わい殊の外  アロマ

 手土産の蕎麦饅頭の秋日和  草間時彦

 支那蕎麦の手招く灯あり霜の辻  石塚友二 方寸虚実

 旅人が着物に包む蕎麦粉かな  前田普羅 春寒浅間山

 旅人のよき蕎麦食ふや十二月  前田普羅 普羅句集

 春すでに